機械要素 – ボールねじ

機械設計

はじめに

ボールねじは、動力の回転を直動へ変換する機械要素の一つです。また、工作機械に求められる精密な位置決めに必要不可欠な機械要素として、各送り軸に使用されています。

さて、上記の回転を生み出す動力源と言えばモータであり、位置決めするということは、ボールねじを介して質量を持った物体が動くということです。つまり、この物体の質量などのパラメータに従ってモータを選定する必要が出てきます。

この記事では、モータの選定に必要な概念である慣性モーメントの一歩手前の公式を導出します。ここを理解しておけば、メーカ等のカタログを見ても問題なく対応できると思います。

高校物理の復習

ボールねじの基本は等速円運動ですので、ここでわからないことがあれば、まずは高校物理の参考書等を引張り出してきて復習しましょう。

角速度 \( \omega \):円運動において物体が1秒間に回転する角度、つまり角度の時間変化率をいう。 \[ \frac{d\theta}{dt} = \omega  \]
角度方向の速度成分(あるいは、接線方向の速度) \begin{eqnarray*}  v &=& \frac{dx}{dt} \\ &=& \frac{r \, d\theta}{dt} \\ &=& r\omega \end{eqnarray*}
周期 \( T \):半径\( r \)の円周は\( 2\pi r \)であるから、\begin{eqnarray*}  T &=& \frac{2\pi r}{v} \\ &=& \frac{2\pi r}{r \omega} \\ &=& \frac{2\pi}{\omega} \end{eqnarray*}
回転数\( n [Hz, 回/秒]\)を用いると、\begin{eqnarray*}  n &=& \frac{1}{T} \\ &=& \frac{\omega}{2 \pi} \end{eqnarray*} つまり、\[ \omega = 2\pi n\] となる。
機械工学で頻繁に用いられる\(N [rpm] \) を使うと上式は、\[ n = \frac{N}{60} \]より \[ \omega = \frac{2 \pi N}{60} \] となります。

ボールねじの駆動

ここから本題に入ります。まずは、ボールねじにモータが直結された場合を考えます。

ボールねじによって物体が進む距離 \(x [mm]\)は、ボールねじのリードを\(l [mm]\)、回転角度を\(\theta [rad]\)とすると、次のように表せます。

\[ x = l \frac{\theta}{2 \pi} \]
物体の速度を求めたい場合は、上式を時間で微分します。
\begin{eqnarray*}  v &=& \frac{dx}{dt} \\ &=& \frac{l}{2 \pi} \frac{d\theta}{dt} \\ &=& \frac{l}{2 \pi}\omega \\ &=& \frac{l}{2 \pi} \frac{2 \pi N}{60} \\ &=& \frac{lN}{60} \end{eqnarray*}

ボールねじの駆動 – ギヤ減速がある場合

ボールねじをモータと直結するのではなく、減速機を間にかます場合を考えてみます。

ここで、減速比 \(i (i<1、例えば1/50など)\)の減速機をモータに付けるということは、文字通りモータの回転数を\(i \)だけ落とすという意味です。

回転数と回転角度は比例しますので、モータの回転角度\(\theta_m \)と、ボールねじの回転角度\(\theta \)には、以下の関係が成り立ちます。

\[ \theta = \theta_m i \]
これより、物体が進む距離\(x \)は以下のようになります。
\[ x = l \frac{\theta_m}{2 \pi} i\]



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