機械要素 – ねじの力学 その1

機械設計

はじめに

ねじは主として部品同士の締結に用いられますが、他にねじの回転運動を直線運動に変える目的で使用されることがあります。このように、締結や運動に直接関わる機械要素ですので、ねじの力学を理解することは、機械設計者にとって非常に大切であり、基本でもあります。

この記事では、ねじの定義から始まり、ねじの回転に要するトルクの式の導出を説明します。そして、それらの式からわかる事実を述べようと思います。式とイメージをつかんでしまえば、ねじに対する理解は容易になり、今後の設計に大いに役立つと確信しています。

また、上記の理由から、PE試験でもねじの問題が出題される可能性が十分にあり得ます。現に、模擬問題集では、ねじの回転に要するトルクを求める問題が出題されています。

三角ねじの定義

設計者に限らず、誰にでも馴染みがある三角ねじの定義をしようと思います。

まず、上図で三角形ABCは直角三角形です。さて、直径 \( d \)の円柱に底辺\( AC = \pi d\)の直角三角形ABCを巻きつけると、斜辺ABはつるまき線をえがきます。(ここで、なぜつるまき線になるのか?とこだわってしまうと、大学の幾何学を学ばないといけませんので、ここでは、こういうものだと自分を納得させましょう)

さらに、直線BCを底辺とする三角形BCEを新たに作成し、同じように直径 \( d \)の円柱に巻きつけると、BE、CEはつるまき面をえがきます。このつるまき面体を「三角ねじ」と言います。イメージできましたでしょうか?

次に大事なのが、「リード」と「ピッチ」の定義です。

直線BCをリードと言い、上図の通り、また上記の定義の通り、ねじを軸のまわりに一回転させたときに、ねじ山が軸方向に移動する距離のことを言います。つまり、ねじを一回転させると、リードの長さだけねじが進むことになります。
ピッチとは、隣り合うねじ山同士の距離を言います。上図に記しました。
リードを \( L \)、ピッチを \( p \)としますと、上図では次の関係が成立します。 \[ L = p \]

四角ねじと台形ねじ

三角ねじの定義を理解できたら、四角ねじと台形ねじもすぐに理解できます。

直線BCの半分を底辺とする矩形、または台形を考えると、それぞれ四角ねじ、台形ねじができあがります。

2条ねじ(多条ねじ)

ねじを一回転させたとき、より大きくねじを進ませたい場合、あるいは、少しのねじの回転で大きく移動させたい場合を考えてみます。

これは、机上では難しいことではなく、リードの定義から、そのねじのリードを長くすればよいことになります。しかし、リードが長くなるということはピッチも当然長くなり、ねじ山の間隔が開いた粗いねじが出来上がることになります。そして、設計の制約上、おそらく粗すぎるねじは採用できないでしょう。

例えば、リードが2mmのねじを4mmのリードにしたいと考えます。ここで、ピッチを4mmにするのではなく、4mmのリードの中に、2mmのピッチを持つ、つるまき線を作ると、4mmのリードの中に2mmピッチが2つ現れることになります。これを2条ねじと言います。

下図の\( \beta \)をリード角と言い、図からもわかるように、多条ねじにするほどリード角が大きくなります。

上図から、条数を\( n \)とすると、以下の式が成立することがわかります。\[ L = n p \]

 

 

 



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