ヤード・ポンド法の単位について

PE試験

アメリカでは、ポンドを質量の単位として使用する習慣が確立しています。すなわち、いたるところにヤード・ポンド法で表記されている、ということです。

PE試験でも、もちろんこの単位系で問題が出題されますので、ヤード・ポンド法の完全な理解は無理でも、問題が解けるレベルの理解はあった方がよいと思います。実際、問題集、参考書を見ても、なぜ\(g_c\)が出てくるのかという問いには答えていませんので、自力で調べることになります。

この記事では、PE試験の受験勉強で必ず直面し、そして最初の難関でもある、ポンド質量[lbm]と、ポンド重量[lbf]の話をしようと思います。

結論を先に書くと、以下の通りです。

  1. 質量 \(1\, \mathrm{[lbm]}\)の質点に、\(32.2\, \mathrm{[ft/s^2]}\) の大きさの加速度を生じさせる力の大きさを \(1\, \mathrm{[lbf]}\)という。
  2. 式で記述すると、以下となる。 \[ F\, \mathrm{[lbf]}=\frac{m\, \mathrm{[lbm]} \times a\, \mathrm{[ft/s^2]}}{g_c\, \mathrm{[lbm\cdot ft/lbf\cdot s^2]}}\]ここで、\(g_c\)は、重力加速度の\(g\)ではなく、ただ単に、feetとinch間の換算係数である12と同じ意味で扱われ、その値は32.2となる。

我々日本人(ある年齢以上)はSI単位系で物理学を学習してきたので、必ず換算係数の32.2に混乱すると思います。つまり、SI単位系での力の定義は、

\[ F\, \mathrm{[N]}=m\, \mathrm{[kg]} \times a\, \mathrm{[m/s^2]} \]

であり、ヤード・ポンド法でもSI単位系と同様の関係が成立するだろうと思われるかもしれません。しかし、違うのです。

さて、SI単位系の力の単位であるニュートン\(\mathrm{[N]}\)の定義は以下となります。

質量 \(1\, \mathrm{[kg]}\)の質点に、\(1\, \mathrm{[m/s^2]}\) の大きさの加速度を生じさせる力の大きさを \(1\, \mathrm{[N]}\)という。
もうおわかりでしょう。そうです、加速度を生じさせる大きさが違うのです。
 
歴史的な経緯はわからないのですが、定義として、加速度\(1\, \mathrm{[ft/s^2]}\)ではなく、\(32.2\, \mathrm{[ft/s^2]}\)となっていますので、ヤード・ポンド法では\(g_c\)の使用は避けられないということになります。
 
アメリカの掲示板では、この定義にやや否定的な意見が多いように思えました。
 
最後に、\(g_c\)という換算係数を必要とする公式の代表的なリストを記しておきます。32.2で割らないと答えが合わず、途方に暮れることになりますので、慣れておく必要があります。
  1. 運動エネルギ \[ E\, \mathrm{[ft \cdot lbf]}=\frac{m v^2}{2g_c}\]
  2. 位置エネルギ \[ E\, \mathrm{[ft \cdot lbf]}=\frac{m g h}{g_c}\]
  3. 圧力 \[ P\, \mathrm{[lbf/ft^2]}=\frac{\rho g h}{g_c}\]
 

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